介護の仕事の理想と現実 キラキラ系職員像では現場は回らない

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介護でよく語られる理想論

仕事をする時には自分の理想とする姿を考えて、組織でどのように振る舞い、利用者にどんな価値を提供するかということを追求することは大切なことです。 介護の理想としては、よく以下のような言葉を耳にします。

  • 利用者に笑顔を届けたい!
  • 利用者に寄り添いたい!
  • 利用者に夢をもってほしい、私が叶える!
  • 利用者を中心にパーソンセンタードケアをしたい!
  • 利用者の自立支援をしっかり追求したい!

このような言葉は方針としては大切なことです、抽象的です。耳障りのよい美しい響きの理想ですが、介護職や施設の押し付け感や騙しのようにさえ感じます。

よく介護施設や有料老人ホームなどのパンフレットで見かけますが、外向きに広報や営業上はこのようなことを述べられており、本当に耳障りの良い言葉です。
少なからず介護の仕事をしてる人はこのような気持ちは持ち合わせていると思います。お金のために働くというのもありますが、仕事をしている中でやはりやりがいや自分が貢献している感覚は必要なので、忙しく厳しい現実の介護の現場の中でも多少の理想や貢献の心はみんなにあります。

介護の理想と現実

政治家とかコンサルタントを名乗る人とかが、介護業界の理想を語り、「変える変える!」っていいますが、よくわからないですよね。今ある介護の在り方などを変えるためには、影響与えられる所属先の範囲を調整するか、制度を変えられる人になるか、介護保険制度外で理想に取り組むかしかありません。

介護保険サービスという制度の枠組みの中でのことであることと、生活の間に入って支えることであるといういう前提は変わらないので、自分の職場で地道に周りをリードできる立場になって進めるか、制度を動かすかです。

介護の理想を語るだけの人は、介護の現実を知っているようで知っていない人が多いように感じます。

介護で理想ばかり言う人を隠語で「キラキラ系介護士」という

ネット上やSNSなどで隠語として「介護の理想論や美しい部分だけを誇張する人」のことを嫌味も込めて「キラキラ系」と呼ばれています。よくあるキラキラ系は以下のような感じです。

  • 今の介護業界はおかしい!課題満載だから介護の業界を変える!
  • 介護は素晴らしい仕事だ!私すごいことしている!!
  • 今の介護はダメだけど、私には感動的なストーリーがある、介護はすばらしい!
  • 介護の現実の話をしている時に、現実を棚上げして理想論を熱弁!
  • 私は介護業界のリーダーになる!

このような発信する理想主義者は、「介護業界はおかしい」など、主語が大きく目の前の現実のことが見えていないことが多いです。キラキラした部分や、介護の現場で仕事していると到底考えられないような理想論ばかりを並べることが特徴です。

キラキラ系に代表される一大イベントが「甲子園」という言葉を使った発表会で、素晴らしかった事例を盛りに盛って美化して発信するというものです。介護業界で孤立しそうな人たちが承認欲求を満たすために行われるような部分があり、寸劇を混ぜたりして介護崇拝をするので宗教みたいだとも言われています。

意識の高い介護職を集めることは業界の水準向上のために行われると言うよりも、キラキラ系を集めて企業などのPRなどを行うビジネスの場であり集客手段となっています。

キラキラ系は介護職員のことを「介護士」と呼ぶ傾向がある

介護士という職種は法令上や資格の名前としてはありませんが、造語として「介護士」と言う言葉があります。介護保険法での職種としては「介護職員」という呼び方ですし、資格としては「介護福祉士」や「介護職員初任者研修修了者」「介護職員実務者研修修了者」などです。

キラキラ系の理想論を発言する人たちは、介護保険法や介護職員の資格の仕組みのことなどは非常に疎いようで、介護職員のことを「介護士」と呼ぶ傾向があります。介護士という呼び方は介護業界で制度や仕組みをちゃんと理解している人は使うことはないので、「介護保険制度を理解していない」ということを自称しているような呼び方だと思いますので、「介護士」という言葉を使っている場合には部外者でうわべだけの浅はかな知識で物言いしているの人間である考えて良いでしょう。

キラキラ系の問題点 介護業界に与える影響

キラキラ系がなぜ介護業界で忌まわしく思われているかというと、介護の現場を変えると言っている多くの人が現場の人ではなく自分で立ち上げた組織の人や、ほぼ介護の経験がなく外観だけで課題を指摘しているということが多いからです。経営者として自分の施設を理想的な施設にしているという人は比較的交換を思ってSNS 上などでもコミュニケーションが取られていますが、理想論や介護現場の批判ばかりを発信しているようなタイプのキラキラ系は現場でちゃんと働く介護職員などからは非常に嫌われています。SNS の世界は割と人に依存するわけではないのですが、キラキラ系の発信ばかりをしている人は理想論や介護現場の批判に偏っており現場で働いている人からすれば面白くないものです。私が介護業界を変えるとか、介護はとても素晴らしいものだということを連呼しているのですが中身がないことも問題です。

理想の介護職員像を全員押し付けると現場が回らなくなる

介護の仕事の中で重要なのが、理想を持ちつつもそれを現実的に実現できるかどうかという点です。 介護の理想を語ることは簡単ですが、現実的に仕事をする中でどこまでその理想を叶えられるかは非常に難しいことです。介護の現場で働く人が皆葛藤している中で、理想の部分だけを求め続けると現場で働く同僚からは煙たがれますし、実際に行わなければならない業務が回らない状態になります。

キラキラ系と言う介護市場 マーケティング活動

介護の理想を語るキラキラ系の特徴は、マーケティング的な要素が強いことです。介護の理想があり、向上心がある介護職員などを集客して、自分にキックバックがあるような商材や研修・転職サイトなどに誘導するような傾向もあります。キラキラ系の発信に反応する層は、介護業界の中でも意識高い系であり、その意識高い系は研修やより良い理想的な職場を集めているのでターゲットの絞り込みのマーケティング活動にキラキラ系の発信が利用されています。

逆に、キラキラ系を批判するような活動を通して、介護の仕事に不満がある人を絞り込み転職などの見込みがあるターゲットを絞り込むためにわざと炎上させるような方法なども取られています。キラキラ系や理想高めの発信をしているアカウントや企業がマーケティング活動の一環であるのかを見極めないと、自分の価値観を明かして相手のマーケティング活動を手助けすることになってしまうので注意した方が良いでしょう。

頭のいい発信者の場合にはこのような意図があって介護業界をわざとキラキラさせた部分だけ目立たせたりしますが、若いうちに介護業界の課題感に気づき現場からは離れた場所から問題点だけを指摘したり、現実的な解決策を持ち合わせずによくしなければいけないと訴えているような人たちは、ただ悪い点を露店させて介護業界の品位を下げているだけになってしまいます。

介護の業界の中でも、実態と理想を埋めるようなバランスのとれた人はキラキラ系とは言われませんので、理想ばかりにならず現実の中で実現できることを少しずつ取り組めるとそれは介護業界の水準や風習を変える起爆剤になっていくと思います。


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令和6年度介護報酬改定では、4月に変更となる内容と、6月に変更になる内容があります。例えば、訪問介護費の場合、基本報酬部分は4月から、処遇改善加算等は6月から変更という2段階での変更が生じることがあります。詳細は各記事に添付している厚生労働省のサイトからご確認ください。

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